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2008年3月11日火曜日

事故とスタイルについて

ある岩場で死亡事故が、起こったそうです。結果として、その岩場は、登攀自粛となっているようです。その岩場には、ぼくは行ったことが無いし行くことも無いだろうと思っていました。理由は、開拓者の方が

 トップロープの禁止
 プリクリの禁止
 長ヌンの禁止(クリップポイントをずらす)

と言うようなことを主張されていたからです。ぼくの考えるスタイルとは、あまりにも違いすぎるので・・・。ぼくも下手なりにこだわりがあり、自分なりのスタイルへのこだわりをもっています。ですが、それはあくまでも自分のクライミングに対するこだわりであって、他人に対してどうこうするものではありません。誰かがトップロープであるルートを登ったとして、それがなんなのでしょうか?同じようにマスタースタイルで登ったとしてなんでしょうか?どうってことのないことです。プリクリだってなんだって同じことです。その人が、それで満足するのであれば、それでよいではないかとぼくは思うのです。所詮、岩を登ったところで偉くもなんともなく、ただ単に登った本人が気持ちよいだけ。完全な自己満足の世界だからです。

登山の話をしましょう。例えば、槍ヶ岳の登頂と言うものを考えてみます。この山に登る一番簡単な方法は、3泊ほどの日程を組んで7~8月くらいの一番良い時期に、小屋泊まりで登ることです。テントで登れば少し体力がいるでしょう。体力の有り余る人は、飛騨側から日帰りでやっつけるかもしれません。もっとハードなものを求める人は、アルパインクライミング。厳冬期しかいやだという人もいるでしょう。これは、スタイルの違いと言えるでしょう。
では、厳冬期の最もハードなルートを登る人は、夏に小屋泊まりで登る人のスタイルを批判するのでしょうか?そんなスタイルは、駄目だと言うでしょうか?個人的には、そんな話を聞いた事がありません。それぞれが、よりハードなスタイルを目指すという事はあっても、あのスタイルは駄目だなどと批判する必要も理由も無いのです。
登山に置き換えればわかりやすい話が、クライミングの世界では理解されにくいように思えます。トップロープにせよプリクリにせよ、ルートの難易度が変わるのは理解できます。ですが、それはテントを背負って歩くか?小屋に泊まるか?と言った程度の差にすぎないのです。槍ヶ岳の山頂にバリエーションルートから登った人が、山頂に一般道から来た登山者が居たからといって腹を立てるでしょうか?ぼくには、そんな馬鹿げたことを一部の古くからクライミングをしている人たちが主張しているように思えるのです。
繰り返しになりますが、どんなスタイルで登ったところで、それは個人の問題であって他の人が、とやかく言う問題ではないと思うのです。

ぼくにとって一番重要な事は、やはり安全に登るということです。そのためにはプリクリだってトップロープだって別にかまいはしないと思うのです。より良いスタイルを追求するのは、充分な実力がついてからでも遅くは無いのです。事故は、ぼくにとっても無縁な存在ではありません。実際に軽い事故や、落石。ロープの結び間違いを発見したことなど、事故や事故になりかねない状況に遭遇した事が、何度もありました。これまで大きな怪我をしなかったのは、運が良かっただけ。そう考えて、これからもより一層気を付けていかなければと思ったのです。あと色々なスタイルを受け入れる懐の深さが、クライミングの世界にも、広がると良いのですがね~。

最後に事故で無くなられた方のご冥福をお祈りします。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。Sugaです。
    ときどき出てくる鋭いご意見にいろいろ考えさせられます。
    いくつか思うことがあるので、意見を交換できる機会がほしいですね。そういう話が大好きなもんで。へへ。
    某岩場の開拓者さんは、「命の惜しいチキン野郎は来るんじゃねえ」と言いたいのではなくて、「ここじゃあこんなシバリでやってるけど、けっこう面白いぜ」ということを主張したかったんじゃないでしょうか。
    私もプリクリもするしTRもしますが、やっぱりマスタースタイルには、代えがたい面白さがあると思うのです。
    いつものバカ話でなく、まじめに話もしたいね。南国から帰ってから、よろしく。

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  2. ぼくもあの岩場が、そういうスタイル限定だというのは、まあ理解できるんですよね。ただ、あれだけ事故が起こって地元の人に迷惑をかけている以上は、やはり何らかの対策を考えるべきかなという気がします。例えば、非公開で開拓者の了承の下で登るとか・・・。
    そういえば例の事故は、2ピッチ目でクリップせずに登り始めてしまい、1ピン目にクリップできずに落ちたようです。僕らのようなフリークライマーにとっては、簡単におこしそうなミスだけにぞっとします。お互い、事故だけは気をつけましょう。

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